「疲れたから寝そべって撮りたい」と言ったら、カメラマンさんが本当にそのポーズのままシャッターを切ってくれました。寝そべるとだらしなく見えてしまうかと思いましたが、カメラの位置を高くして真上から俯瞰で捉え、脚をすっきりと伸ばして手にリンゴを持つ仕草を合わせることで、かえって夜色の中にふわりと浮かんでいるような軽やかさが生まれました。
このレミリアの衣装はスカートの裾やフリルのレイヤーが多く、横になると一箇所に溜まってしまいが机制です。そのため、撮影前にシワを丁寧に伸ばし、アシスタントさんが横から赤いリボンの位置をすばやく調整してくれたおかげで、最終的な仕上がりも崩れずに済みました。プロップ(道具)の赤リンゴは手元でしっかりと固定する必要がありました。角度による光の反射でプラスチック感が出やすいため、レタッチ(後期編集)でハイライトを少し抑え、リンゴがより瑞々しく見えるように工夫しています。
背景に浮かぶ星やコウモリはレタッチで合成したもので、実際の現場はただの黒いバック布でした。こうして処理を施すことで、画面の空気感が吸血鬼の夜会(夜宴)の雰囲気にぐっと近づきます。こうした「標準的な立ちポーズではない」イベント写真は、横たわることで顔の受光面積が変わるため、実はカメラマンさんの光と影のコントロールが非常に試されます。瞳のハイライトを残しつつ、おでこが白飛びしない絶妙な数値を求めて、ライティングの配置を2パターン試しました。最終的な写真におけるあの無重力のような佇まいは、ただ突っ立っているポーズよりもかえって生き生きとしています。
コスプレを長く続けていると、素晴らしいイベント写真が必ずしも型に安住している必要はないとつくづく感じます。たまには少し手を抜いて視点を変えてみることで、思いがけない素敵なサプライズに出会えるかもしれません。今回の東方Projectの撮影は、そんな新しい楽しさに気づかせてくれる二次元撮影になりました。